ARCHITECTS' concept
北欧の拡散光的な使い方が好き
天窓が捉える風を循環させる
クライアントの要望はスローライフと天窓でした。リビングに薪ストーブがあって、おおらかな景色の中に建つどこか別荘のような佇まいがイメージです。アアルトの『ヴィープリ図書館』やユハ・レイヴィスカの『ミュールマキ教会』など北欧の拡散光的な使い方が好きで、ベルックスも以前から知っていましたが、使うのはこの物件が初めてでした。建設中からクライアントと一緒にワクワクするような理屈を超えた良さがあります。
東に向かって緩やかに傾斜する敷地で、畑に広がる景色を一望するため、軒先を低く抑え左右に開口を広げることを選択しました。温熱上も良く、反対側から家を見た時にせり建つ壁が景色をブロックしません。木質ハイブリッド梁で3間の大スパンを飛ばし、地形的な起伏を内部にも取り込みながら立体的な広がりと奥行きをつくり出しています。屋根のプロポーションは自分の中で黄金比率としている2:1の勾配比率(3寸と1.5寸)にしています。
斜面に沿うリビングの屋根に2台、寝室に2台の天窓を使いました。斜面に沿って吹き上がってくる風を天窓が正面から捉え、室内に流れ込み循環するのがとても気持ち良く、夏期の冷房費はかなり抑えられると思います。天窓越しに見上げる空を強調するため、天窓と天井の取合い部分には枠を回さず、天井の木質系仕上げ材と懐のシナ合板を、天井勝ちの突き付けで納めています。寝室では光量を得るため、懐をテーパー状に広げました。