ARCHITECTS' concept

厳しい寒さに対応する
究極の省エネ住宅

小さなローコスト住宅です。屋内空間のフットプリントはとても小さく16坪程度。2階の個室は隠れ家のような屋根裏部屋になっています。小さな屋内空間には「建設費が安い」「掃除が容易」「光熱費が安い」などのメリットがありますが、断熱にはコストを惜しまず高断熱水準となっており、究極の省エネ住宅という側面も持っています。面積的に小さくとも、広く感じさせる工夫によりおおらかで開放的な住宅になったと思います。

大きな窓で仕切られているテラスと室内空間は、同一の素材で仕上げて視覚的に一つの大空間に見えるようにしました。このテラスは、内部のようであり外部のようでもある空間で、気積が大きく、雨風をしのげるよう屋根と半透明の表皮で囲われた空間ですが断熱性能はありません。それは日本の伝統的な土間空間や、道内の住宅に見られるサンルームのような、冬は温室的に機能し厳しい寒さに対するバッファゾーンとなります。

天窓は「天空光」と呼ばれる空の光を拾うので、どんよりとした曇りの日や雪の日でも十分な明るさをもたらしてくれます。テラスに設置された3つの天窓は、開閉の必要性がないと判断したため、ポリカーボネートで造作しました。小屋裏に位置する個室に光を採り入れ、夏の通風にひと役買っている屋内の天窓2つはベルックス製にしました。2方向に開くので、ひとつながりの空間の通風と排熱に有効です。
OWNERS' impression

夏は涼しげな影を作り
冬は温室のような温かさを生んでくれる

設計事務所は一般に敷居が高いところがあると思いますが、高木さんには予算面での相談にも乗っていただき、無事に素敵な新居を構えることができたので、とても感謝しています。室内は飾りっ気のないすっぴんのような仕上げですが、それが逆に気に入っていますし、小屋裏にある2階の寝室と子ども部屋へ、夜一緒に階段を上がって寝に行く時など、旅先のコテージで離れに宿泊しているようなお洒落感も味わえます。

一年を通じて生活すると、テラスが季節ごとに働いてくれていることに気づきます。良くできているなと思うのは、夏は涼しげな影を作り、冬は温室のような温かさを生んでくれることです。間取り的にはテラスになりますが、床が繋がっているので生活していると広いリビングがあるのと一緒だと思います。季節で一番気持ち良いのはやはり夏で、テラスのドアを開け放って、風通し良く過ごしています。

天窓は明るくて開放的で、毎日朝起きて部屋から出ると空がすぐ目に飛び込んでくるので、ああ今日はいい天気だなあとか思いますし、雪が降ってくるのを見るのも決して悪くないです。晴れた日には天窓を開けて風を通すようにしていて、実際に凄く風が通るので、天窓が無かったら夏はきっと夜まで熱気が溜まっているのではないかと思います。





所在地: 北海道札幌市
延床面積: 78.13㎡(テラスを除く)
使用天窓: VS手動タイプ S06サイズx2台
施工: クワザワ工業
photo: 大瀬戸雄大